WEBだけの特別連載『ザ・ビリヤードA to Z 2002』

 「ザ・ビリヤードA to Z」シリーズ3冊(ベーシック編、プラクティス編、アプリケーション編)の著者としてお馴染みの人見謙剛氏によるビリヤード解説講座、「ザ・ビリヤードA to Z 2002」のコーナーです。
 この解説は、当WEBサイトでしか読めないもので、これまでの「ザ・ビリヤードA to Z」シリーズになかった練習法を中心に、新しい理論から最新の技術解説まで、ビリヤード上達に書かせない内容を幅広く連載予定。
 今やビリヤード界の新スタンダード・ブックとなった「ザ・ビリヤードA to Z」シリーズの著者がおくる、超最新ビリヤード解説をぜひお見逃しなく!

※各回の掲載予定期間については、予告なく変更する場合がございますので、予め御了承下さい。


著者より
 こちらのコーナーでは、この度新たに「練習方法」の連載を開始することとなった。「球's」のオンライン版とも言うべき、このホームページにおいて、「ザ・ビリヤード A to Z」の増補版的内容を紹介していこうというものである。印刷媒体の紙面ではなくWeb Site上での連載ということにより、「紙面の都合」という制約を気にすることなく、より詳細に渡る解説が可能となる。
 「練習方法」については「ザ・ビリヤード A to Z」の「プラクティス編」で初心者がBクラスに達するまでの道のりとしての練習課題集をすでに示したが、そこでまだ触れていない内容や、それぞれの練習課題に「どう取り組めばよいのか」という一層肝心な部分について掘り下げたコメントを多く加えていきたいと思う。
 極めて初歩的な内容から段階的に高度なものへと課題を配列するように努めるが、課題の中には「メンタル」な側面に目標を定めたものも含ませるようにする。
 このコーナーを開く読者の方の中で、おそらく「まだキューを握ったことのない本当の初心者」はほとんどいないことだろう。むしろ本格的な上達への意欲に目覚めた段階の方であり、初級から中級にさしかかるレベルの方が多くいらっしゃることと思う。
 それでもこのコーナーは0からのスタートで書きはじめることとするので、始めの部分については、初級以上の方は「基礎を確認する」意味でお読み頂くか、これからビリヤードを始める友人に少しでもスムーズにビリヤードの面白さを知ってもらうための資料として頂きたい。
 あるいは上達の壁にぶちあたったときに、ビリヤード技能総体をあらためて体系的に考え直すことで忘れていた何かを思い出し、スランプ脱出のヒントが得られるかも知れない。

 人の上達は一様ではない。10人いれば10通りの道があり、上達のペースも様々である。またビリヤードとの接し方や目的意識となれば、上はプロを目指す人から月1回程度の娯楽とする人までいる。練習に費やせる時間にしても誰もが毎日キューを握れるわけではない。従って1種類の課題集が万人のニーズに応えるのは無理があると言えるが、それを承知の上でできるだけ様々な愛好家のみなさんの参考になるよう努めるつもりである。

 なお、この解説は表現を簡単にするため、フォームの説明などでは右利きの人を描くことにするので、左利きの方は左右を反転させたイメージで読み進めて頂きたい。


第5回「メカニカルブリッジ」 文・人見謙剛  掲載予定期間'02年11月6日〜11月11日

■メカニカルブリッジの練習
 さてこれまでの練習により「手の届く範囲」に手球がありさえすれば、クッション際だろうと、手前に邪魔なボールがあろうと、一応撞けるようにはなってきた。しかし、手球が遠くにあってどう構えてもキュー先が届かない配置もある。
 それがわずかに遠いという程度であれば、ブリッジからキュー先を長めに出してやればどうにかなるが、「キュー先を長く取る構え」は初心者にとってぶれやすく難しい。そこで「小道具」を使うことにしよう。
 ビリヤード台にはメカニカルブリッジという補助器具が備え付けられている。遠くの手球をショットするときに使うものだが、この使い方にも上手下手がある。そもそも全くの初心者なら使い方それ自体を知らないのが普通だ。
 メカニカルブリッジの使い方の基本は:
1、ブリッジヘッドにキュー先を乗せた状態で手球に近付けていく
2、右手の持ち方は通常のショットとは違い、掌を下に向けて、キュー尻をつまむようにする。右肘は横に張り出すように構えて、キュー尻を口元か鼻の前あたりに持ってくればキューがどこに向けられているかが見やすい
3、キューを置く位置が決まったら、メカニカルブリッジの柄はキューのラインからずらして台上に置き、左手で動かないように押さえ付けておく
4、手首から先だけのコンパクトなストロークをするようにして、無理な大振りは避ける

 メカニカルブリッジでも使い方に習熟してくるとハードショットもできるようになるが、今は無理をしない。遠くにある手球を軽くポンと撞く要領を先ずは覚えよう。

 メカニカルブリッジのヘッド部分にはいくつかのくぼみがあり、そのどこにシャフトを乗せても構わない。ヘッドを縦に使えば、「手球が遠くて、なおかつ手前に邪魔なボールがある」という配置でもショットできる。
 なおメカニカルブリッジを使うことを「かっこ悪い」と思うことはない。正しく上手に使いこなすのも立派な技術である。
 手球が台上のどこに停止しても、これまでの基本の構えとメカニカルブリッジさえ使えればすべてショット可能だ。左右の手が使える器用な人なら右手でショットできないとき左手にキューを持ち替えて構わないが、根っからの右利きの人が臨時で左手を使うと思わぬミスをしてしまうので、不精せずにメカニカルブリッジを使うようにしよう。
 なお、左手でショットするかわりに「背中にキューを回して構える」バックスロークという撞き方もあり、フィリピン選手などはプロでも当たり前にその撞き方をしているが、これはこれで練習しないとできないので初心者が「かっこいい」と思い込んで真似するのは感心しない(しかるべき要領を正しく掴んで練習すれば、利き腕のままショットできるのでさほど難しくはないのだが、ここでは解説しない)。

 さあ、メカニカルブリッジも覚えてしまえば、もうどんな場所に手球があっても何とか撞くことができる。これからはベーシックの練習をするときでも、手球の位置を変えずにそのままトライしてみよう。

メカニカルブリッジでの撞き方例




著者紹介……人見謙剛(ひとみ・けんごう)
英語の高校教師を経て、ビリヤード場の経営者に転身。現在は、ビリヤードショップのオーナーであるとともに、日本のスポーツ文化におけるビリヤードの興隆を自らの使命と定め、執筆、翻訳、ビデオ制作・監修などに取り組む。また、ポケット・ビリヤード強国であるフィリピンにも精通しており、現地にビリヤード場を開業。フィリピンプロたちの技術やメッセージの伝達の役目も担っている。
著書など:「ザ・ビリヤードA to Zベーシック編」「ザ・ビリヤードA to Zプラクティス編」「ザ・ビリヤードA to Zアプリケーション編」「ロバート・バーンのビリヤード・アドバンス・ブック(翻訳)」「ザ・プロブック(翻訳)」「簡単キューメンテナンス(ビデオ監修)」「ラミル・ガレゴのシステム&ブレイク完全修得(ビデオ監修)」「ボウラードビデオ完全攻略法(ビデオ監修)」、以上BABジャパン刊




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