遠藤(弟)の現住所は神奈川県厚木市である。生まれ育ちは東京都で、小学校5年まで品川区の二葉町(大間窪小学校)だったが、それ以後は、途中9年間の埼玉暮らしを挟むも、およそ30年に渡って厚木市民をやってきたわけである。
それでだ。
最近、厚木といえば「シロコロ・ホルモン」なるB級グルメの鼻息が荒い。要は豚の大腸なわけだが、2008年の『B-1グランプリ』(B級ご当地グルメの祭典)で優勝してからというもの、すっかり厚木の名物になってしまった。厚木市の商店連合会のプロジェクトがこれを仕掛けたのが2005年。町おこしとしては、まずまずの成果であろう。
もともと本厚木に、ホルモンを食べさせる店が多いのかどうか知らんが、20年近く前、遠藤(弟)が塾の講師をしていた頃から、同僚ときわめて頻繁にホルモン焼きの店に通っていたのは事実である。
当時よく行ってたのは「大ちゃん」である。ホルモンを焼く煙にいぶされたのか、上質のハムみたいに飴色になったじいさんが仕切っている店で、小規模ながら実に美味しく居心地のいい店だった。先日久しぶりに行ったら、さすがにあのじいさんはいなかったが、相変わらずの繁盛ぶりであった。
ヨーカドーの近くに「酔笑苑」なる店が」ある。これがTVで紹介されたせいもあって、夕刻ともなるとまるで発熱外来のごとき行列である。昔は「金も無いし、ホルモンでも行くか」というスタンスで美味しく気軽に行けた店が、今や行列の店である。おかげですっかりご無沙汰である。言っとくけど、シロコロって過度な期待は禁物ですよ。普通に安くて、普通に美味しい、普通のホルモンですよ。
ちなみに僕は、シロコロは焼き加減がわかりにくいので、あまり好きではない。ホルモンの店へ行ったらまずはセンマイ刺しにレバ刺し。ハツにカシラにコブクロである。前も書いたけど、当時の塾講師仲間で、麻布獣医の学生がいて、ホルモンを囲むと「これは豚の大腸でね、これが××でね」と、こと細かに説明を始めたものである。楽しかったなあ。
厚木のホルモンの供給源がどこかは不勉強で知らないが、どこかの屠場(とじょう)であることは間違いないだろう。──で、読んでおきたいのが『ドキュメント 屠場』(鎌田慧/岩波新書)である。職人芸としての解体作業、避けて通れぬ差別の問題、労働組合のエピソード等、実に読み応えのある一冊。屠場で働く労働者達に共通する信念は、次の行程に携わる人間の作業を少しでも楽にするために、自分のベストを尽くすということであるという一節が、僕は特に好きである。これこそ労働の本質であろう。