今頃になって寒い日が続く。が、見渡す限り春の風景である。実家へ行った時など、つとめて犬の散歩をしているのだが、やはりこの季節は楽しい。毛利台の端っこにある実家を出て、住宅街を抜けて消防署の交差点へ。ここまで来ると田んぼ地帯。視界がぱっとひらける。うららかな陽射しを浴びながらあぜ道を歩き、川沿いの小径に出る。玉川(多摩川ではない)という、名前からしてしょぼくれた川だが、せせらぎというのはいつ聴いてもいいものである。春の陽に当たりながら川べりを散策するなど、女房恋人か犬でも傍にいなければ、到底格好のいいものではない。残念ながら後者に甘んじている遠藤(弟)である。全くのところ、モテない独身男にとって、春ほど残酷な季節はないと心底思うが、それでも生命湧きこぼれる春は大好きである。
昨夜は、またも実家に泊まりがけで晩御飯を食い荒らし、酒を飲み散らかす。毎度毎度この有様ではいけねえとばかり、「幸せの丘」で『丹沢ロール』なるケーキを購入し、土産とする。珍しいことである。とゆーのも僕は基本的に「ロールケーキはケーキに非ず」という偏見の持ち主である。ケーキとロール(以下略)は違う、回らない握り寿司とお母さんのちらし寿司くらい違う、てのが僕のいつわらざる思いだが、先日職場の鈴木ノリさん(ちなみに鈴木姓は3人。それぞれヒデさん、ノリさん、カズユキと呼ばれている)が、「幸せの丘ならこれ!」とイチ押しだったので、ためしに購入したという次第。それにしても、繁盛している店であるが、昨日はとりわけ大混雑。何事かと思ったら、ああそうかホワイトデーか。けっ、どーせ俺には関係ねえやと、甘い香り漂う店内で苦々しい思い。
夜、親父とビールで乾杯(母は飲まない)。500ccの缶を1つ2つ3つ4つ空にした後、親父は焼酎のお湯割り、僕は白ワインのオンザロックにレモンスライスを入れて、ひたすら杯を重ねる。酒肴を次々とやっつけ、料理も平らげ、さらに「丹沢ロール」で仕上げ。そりゃ腹の一つも出るよ。ちなみに丹沢ロールは栗の甘味がメイン。非常に美味しかった。
『楽屋裏』第1巻(魔神ぐり子・一迅社)。編集者と漫画家のしょーもないやりとりを描いた作品は多いが、これは珠玉かも知れない。漫画家が泣き言を描き連ねる日記風マンガは、そもそも大好きである。柴田亜美の『勇者への道』や、カラスヤサトシの一連の4コマ、そして本厚木出身のG=ヒコロウの『みんなはどう?』シリーズ等がそうだが、この『楽屋裏』という作品は見事に僕のツボにハマった。超ストライクである。こんなモン描いてて、この作者これから大丈夫だろうか?と不安にさせる辺り、実にぞくぞくっと倒錯的に面白い。正直、こんなやりとりをCUESの編集としてみたくもあるが、それは良識ある社会人として、否、人間として失格だと思いとどまる。
同じ日に、もう1冊強烈な本を購入。特異日というか何とゆーか。これも爆笑した。
『あなたの町の生きてるか死んでるかわからない店探訪します』(菅野彰×立花実枝子・新書館)。体験ルポと4コマの組み合わせ。内容はタイトルのまんま。見るからに駄目そうな中華料理屋、やる気があるとは到底言い難い外見のレストラン等々、気にはなるけど食事しに入る勇気がとても起きない店に、意を決して入店。店内で起こる衝撃の事実の数々を記録した、涙無しには読めない決死のルポである(笑)。
文体といい、漫画の絵柄といい、あまり好みではないのだが、とにかく店内で繰り広げられる地獄絵図(笑)が馬鹿馬鹿しくも哀切に満ちており、一気に読ませる。立花隆の言う通り、「文章の本質的価値は、いかに書かれているかより、何が書かれているかにある」ことを実感した。それにしても、恐るべき料理店もあるものである。